ワインリストがぶ厚い!in Paris
2009年02月05日
パリの高級星付きレストラン。一度は行ってみたいものだなんて長年密かに思っていた。そのためにはまず同伴者が必要(一人では予約ができない店も在る)。正装プラスきれいな靴それに鞄も必要(荷物が増える)。そして支払い能力の在るクレジットカードが必要(やっぱり金か)。今回の旅は食い道楽がそろった。ラッキー。旅立つ前にどこに行くかをあれやこれやと下調べ、アルぺージュ、ランブロアジー、ガルニエール、アピシウス、、どこに行くのかずいぶん迷った。迷ったあげくに出した回答「トゥールダルジャン」レストラン通からクラッシーと言われそうなのだが、、
1582年創業、鴨料理の超有名店。日本ではあんまり知られていないですがそのセラーには何と40万本の銘品をストック。ワイン好きならば一度は詣でたい巡礼の地。
サロンで待ち合わせ、シェリーを注文。運ばれてきたシェリーにびっくり!薄いチョコレート色のビンテージシェリー。う、うまい、、が、後の支払いが怖い。隣の席の大人のカップルはジントニックを注文していた。そ、そんな手もありか〜、う〜ん、先が思いやられる。
銀の塔の騎士がお出迎え。
セーヌ川が見下ろせる市中の絶景。夜は特に美しい。
席に着くと、人生で初めて、値段のないメニューを手にした。イラン産キャビアだけが285ユーロとしっかり書かれていた。地雷を踏まない様にとの店側の配慮だろうか、メインの鴨は血のソースとグリーンペッパーソースの2種類に、アントレは軽めのシーフードを各々注文。食事が決まると本日、本当のメイン。巨大なワインリストが登場!じゃ〜ん!(写真ありません)厚さ15センチ、大判の百科事典ほどの大きさ、黒い革張りの素晴らしく誇らしげなワインリストだ。テーブルに載せるだけでも「よっこらせ〜」と、言いたくなるほど。やや興奮気に、そのページをめくる。めくる。めくる。ブルゴーニュの同じ村名だけでも何ページにも渡り、、あけてすぐに閉じる、いや閉じない、でもギブアップ。やはりここはソムリエに意見を聞こう。「ムッシュ〜、白は魚に合わせてロアールを、200ユーロまででね」と告げる。ムッシュ〜はNicolas Jolyが手がける2000年のCoule'e de Serrant を勧めてくれたa.o.cSavennie'res-Coule'e de Serrantて何処??などと思いながらもなんだか良さそうだってのでこれに決定。「赤はブルゴーニュのニュイ、値段は同じぐらい」ムッシュ〜は迷うことなくRobert Groffierの1989年 Chambolle-Musigny の1級畑'Les Hauts-Doix' を指差した。いきなり89年!、を、勧められ、まずビックリ。日本のレストランでこの値段はありえない。酒屋の小売りより安い。驚きを隠しながらも「他の選択肢は?」と尋ねると「ウ゛ォルネイはいかがですか」との返答。ウ゛ォルネイとミュジニーなら「ミュジニーで!」さてどんなワインがでてきますかな〜。
アントレはホタテとキクラゲ入りコンソメスープ。黄金色の美しいスープはちょっと和風テイスト、ホタテの質と火通しが完璧で申し分なし。白ワインの準備もできて登場。あ〜こちらも黄金色、一口飲んで気がついた。ビオだ。前に飲んだウ゛ーウ゛レイのビオとよく似ていた。そのときはここの雰囲気で頭がぽ〜となっていて気づいてなかったけどNicolas Jolyって、ビオワインの中心的人物じゃあないですか。2000年のおそろしく力強いこの白ワイン、おそらく飲み頃は明日の晩かな。などと愛でながらスープを平らげ肉を待つ。待ってる時間も何だかどきどきわくわくで他のテーブルの様子に目がいってしまう。だってここは高級レストランですもの、、。私、場違いじゃないか?一応確認。そして、その時が来た。ついにやって来た。それはそれは美しくこんがりと焼かれた鴨が眼の前に。思わず「うわ〜」と、声が漏れる「美味しいそう」。最初は胸肉。私のお皿にはグリーンペッパーのソースがとろりとかけられ、そして赤ワインも注がれる。窒息鴨の肉質はまるで野生の鳩の様に赤く全身レバーの様な味わい。胸肉の次はもも肉だ。二皿やってくる。Chambolle-Musignyはまだ若い色合い、20年という歳月を感じさせないほどど〜んと芯が有ってパワフル!なのにちゃんと肩が落ちてエレガント。信じられないぐらい素晴らしいコンディションにして今が最高の飲み時だ。ソムリエの素晴らしい仕事に拍手。若い鴨の強さを包み込む様な懐の広いワイン。そういえばここの売りはブルゴーニュだってムシュ〜が言っておられた。40過ぎたら飲みたいワインの筆頭は一にもニにもブルゴーニュ。Chambolle-Musignyで大騒ぎしている私はまだまだヒヨッコやもしれません、ソムリエに笑われそうですが、、ほんとにほんとに美味しかったのです。ありがとうムッシュ〜。
長旅をしていない美味しいワインを楽しむにはやっぱり自分が長旅するしかない!を、言い訳に又訪れよう。
支払いは、、、京都の有名料亭なみ。しばらくは倹約生活。